HUBLOTクラシックフュージョン・クロノグラフ、修理のポイント紹介
ウブロのクロノグラフモデルをお修理いたしました。
1.時計が止まってしまう原因
原因としては機械内部に使用されている油が劣化してしまっていることと切替車の不良でした。
切替車は自動巻きローター(回転垂)の振り子のような回転運動をゼンマイの巻上げに切り替えるための重要な歯車です。この歯車の動きが悪くなってしまっていたことで自動巻きでのゼンマイの巻上げがうまくいかず早く止まってしまう原因の一つとなっていました。
2.機械の分解掃除(オーバーホール)
不良個所の特定ができましたので機械の分解掃除をします。
クロノグラフのモデルなのでパーツ数もかなり多くなり、修理の難易度も上がります。
全てのパーツを分解し、パーツの材質、形状ごとに洗浄用のバスケットに分け入れ洗浄をします。
洗浄後、不良パーツを交換し機械を組み立てながらそれぞれの箇所にあった油を注油していきます。
この時に少しでも油の量が多(少な)かったり、油の固さが違ったりすると時計の動作に影響が出てしまいますので技術者の知識と経験を頼りに組み立てを進めていきます。
機械の修理中、文字盤や針、カレンダー等の部品はキズが付かないよう別のケースに入れ保管をしています。
こういったパーツはキズが付いてしまったり、擦れて印字が薄れてしまったりすると外観を著しく損ねてしまうため最新の注意をし保管しています。
機械の組み立てが完了したら歩度測定器(ビブロテスター)にセットし、精度調整をします。
調整が完了したら機械をケースに組み込み、テスターに腕時計をセットし1週間以上のランニングテストを行います。
テストで問題がみられなければ、お客様に納品をします。
3.外装の研磨
今回のタイプの外装は18Kキングゴールドとセラミックで構成されておりセラミック部は研磨することが出来ませんので金属部のみ研磨させていただきました。
金属部に使用されている「キングゴールド」はウブロ独自のゴールド素材でローズゴールドよりも赤みが強く、変色しにくい素材となっています。
変色しにくいよう調整されているとは言え、やはり年数がたってくるとだんだんと色味に変化が出てしまうようでお預かり時は赤みがかなり薄い状態でした。
ベゼル部分は「ヘアライン仕上」が施されているのですが擦り傷が目立つ状態でした。
ベゼルをばらして、キズを消した後ヘアライン仕上をし直すことで新品時のような赤みの強い色合いに戻りました。
ウラブタの面はセラミック製の為、研磨をすることが出来ません。
ですが基本セラミックの材質は非常に硬く、キズが付きにくい素材の為洗浄をするだけで写真のようにきれいな状態に戻すことが出来ました。
そのほか、クラスプのロゴプレート部、プッシュボタン、リューズは金属部分ですのでそれぞれをケースから外して研磨させていただきました。
まとめ
今回のモデルはセラミックが多用されているケースだったため、研磨可能箇所は少なかったのですがすべてを一つ一つ丁寧に仕上げていくことで新品時のようなキングゴールド特有の赤みの強い色になりました。
セラミックも特に目立つキズがみられなかったので洗浄のみではありますが全体的にかなりきれいに仕上られたのではないかと感じます。
内部状態も特に摩耗がひどい部品等なく切替車のみの交換で修理をすることが出来ました。
弊社ではこのような一部特殊素材の時計のお修理も承らせていただけます。
ウブロのお修理をご検討中でしたら是非ケイズファクトリーにお任せください。