クリーニングで時計を蘇らせる!腕時計のクリーニング料金と自己対応のノウハウ

時計の修理、外装仕上げ

腕時計を使い続けていると、汚れが目立つようになります。皮膚に直接触れるため皮脂や汗などの汚れが付きやすく、クリーニングを行わなければ錆びや動作不良にもつながってしまいます。しかし「腕時計のクリーニング料金はいくらかかるのだろう?」「そもそも腕時計のクリーニングってどこでやってくれるの?」という方も多いかと思います。

また、インターネット上では自分で行う方法も解説されていますが、故障などのリスクがあるため素人が腕時計のクリーニングを行うには注意が必要です。この記事では、腕時計のクリーニング料金をはじめ、自分で行う場合の注意点や手順、おすすめ業者の選び方をご紹介します。

腕時計のクリーニングとは

時計のオーバーホールの風景
時計のオーバーホールの風景

腕時計のクリーニングと一口に言っても、いくつかの種類があり、大きくは「日々のお手入れ」と「外装洗浄」と「内部洗浄(オーバーホール)」に分けられます。日々のお手入れはクロスで表面の汚れを拭き取るなどユーザー自身が行うものですが、超音波洗浄やオーバーホールは、専門の機械や業者でなければ対応できません。

また、日々のお手入れではベルトや裏蓋、リューズの隙間に詰まった汚れを落とすのは難しく、腕時計を良好な状態にするためには超音波洗浄やオーバーホールを行う必要があります。

ではこれらは、どういった違いがあるのでしょうか。それぞれの特徴や違いを見ていきましょう。

超音波洗浄とは

超音波洗浄は、腕時計を超音波洗浄機に入れて洗浄する方法です。市販の超音波洗浄機を使って自分でできますが、時計のケース部分は防水性能が時計によって異なるためベルト部分だけで行うようにしましょう。

専門業者に依頼した場合は、腕時計専用の超音波洗浄機と、専用薬剤を調合するためよりきれいになりやすい特徴があります。また、超音波洗浄できない場合は、手洗浄での案内となります。ウレタン素材の腕時計でも対応してくれる業者もいるため、「自分の腕時計のクリーニングがどこまでできるのかわからない」という方は、業者に相談してみると良いでしょう。

オーバーホールとは

オーバーホールとは、腕時計を分解・点検・洗浄、組み立てを行う作業を表すものです。超音波洗浄では、ケースやブレスレットなどの外装部品のみの洗浄ですが、オーバーホールは内部のムーブメントもすべて分解・洗浄します。

腕時計は、100以上の部品から成り立っている精密機械のため、定期的なメンテナンスが必要です。車の車検に例えられることも多く、オーバーホールをしなければ故障してしまい高額な修理費がかかってしまうリスクがあります。

オーバーホールには、内部のムーブメントだけでなくケース・ブレスレットの洗浄も含まれているため、定期的なオーバーホールをしていれば、腕時計をきれいに使い続けることができます。オーバーホールの目安は、機械式時計で3~5年に1度、クォーツ式時計で4年に1度と言われています。

外装研磨との違い

外装研磨は、ケースやブレスレットなどの外装部品を専用の機械で研磨することで、表面についた小さな傷を落とす作業のことです。「新品仕上げ」「外装仕上げ」などメーカーや店舗によって呼び方が異なりますが、同じ作業を示します。

腕時計は、どれだけ丁寧に扱っていても、使っているうちに細かな傷がついてしまいます。外装研磨でこうした傷を落とすことによって、新品のようなきれいな状態にすることができます。しかし表面を研磨する作業のため、何度も繰り返しているとケースが薄くなって防水性や耐久性が下がる、ケース痩せの状態になってしまうため注意が必要です。

「ケースやブレスレットについた小傷をきれいにしたい」という方は、外装研磨を依頼すると良いでしょう。

腕時計のクリーニングの料金相場

料金、費用

腕時計のクリーニングを専門業者に依頼した場合の料金相場は、超音波洗浄が3,300円~5,500円、オーバーホールが22,000~55,000円です。

超音波洗浄は、各業者によって対応範囲が異なります。ケース、ブレスレットをわけて対応しているところやケース・ブレスレットを一括で承っているところ、電池交換や点検サービスとセットになったところなど、さまざまです。そのため自分の目的に合わせた業者を選ぶと良いでしょう。

オーバーホールは、ムーブメントの分解まで含めるため超音波洗浄よりも高額になります。また業者や、ムーブメントの種類、依頼する腕時計のブランドによっても変わってきますので、事前に確認しておきましょう。

腕時計のクリーニングを自分で行う場合の注意点

専門技術を要するオーバーホールでなければ、自分でできると感じる方もいらっしゃるかと思いますが、精密機械である腕時計の取り扱いには十分な注意が必要です。一歩間違えると、腕時計が壊れてしまうリスクがあります。ここでは、自分でクリーニングする際の注意するべきポイントをご紹介します。

腕時計を丸ごと水洗いしない

腕時計の大敵は、水です。腕時計を水で丸ごと洗うのは避けたほうが良いでしょう。「防水時計だから大丈夫」という方もいらっしゃいますが、経年劣化によって防水性能が落ちている可能性もあります。また蛇口から出る水の水圧は強いため、防水時計でも浸水してしまうリスクがあります。

金属ブレスレットであれば、ケースとブレスレットをわけてブレスレットのみ洗うことができますが、あまりおすすめできません。なぜなら、バネ棒で外す際にケースに傷がついてしまうことがある、水気をしっかりと拭き取る必要があるからです。プロではない方が行うと、ケースに傷がついてしまったり、ブレスレットの隙間に水気が残ってしまったりといったリスクがあります。

また、ケースとブレスレットを取り外さないで、割り箸で腕時計を支えてコップにブレスレットだけを浸す方法が紹介されていますが、非常に危険な方法です。不安定なため腕時計が水に落ちてしまうリスクや、水滴がケースにつくリスクがあるため絶対にやめましょう。

内部のムーブメントを触る

腕時計の裏蓋は、専用工具を使えば開けることができます。しかし内部のムーブメントは繊細なため絶対にいじらないようにしましょう。裏蓋を開けたことで内部に埃や塵などの異物が入り込んだり、ムーブメントをいじったことで正常に動作しなくなったりといったリスクがあります。

クォーツ式時計の電池交換を自分で行う方もいらっしゃいますが、できるだけ専門店に依頼したほうが良いといえます。また、裏蓋を開けることで、防水性の低下やメーカーの保証が受けられなくなるといったデメリットもあります。

腕時計の貴金属の種類を確認する

クリーニング前に、腕時計の貴金属の種類を確認しておく必要があります。貴金属の種類によって、使う洗浄剤の種類も変わってくるからです。とくに重曹を使ってクリーニングする場合、腕時計がアルミや銅の素材だと黒ずんでしまいます。黒ずんだ貴金属は研磨や再メッキをしないと元に戻らないため、失敗すると自分自身でのクリーニングは難しくなります。貴金属と洗浄剤には相性があるため、必ず腕時計の貴金属を確認し最適な薬剤を使うようにしましょう。

水気をしっかりと拭き取る

クリーニングが終わった後は、腕時計についた水気をしっかりと拭き取るようにしましょう。とくにブレスレットの隙間は拭き取りづらいため、水気が残りやすくなっています。水気が残ったままだと錆びや、ケースに付着し時計内部に水が侵入し壊れてしまう事態に発展してしまいます。革ベルトは水につけると油分がなくなり破損してしまうので水洗いは避けましょう。

乾かす場合は、風通しの良い日陰で干しましょう。太陽光が当たる場所やドライヤーを使用すると腕時計や革ベルトの劣化につながるため、絶対に避けましょう。

腕時計のクリーニングを自分で行う方法

男性ものの時計
男性ものの時計

腕時計のクリーニングを自分で行う方法をご紹介します。注意点でも述べたように、自分でクリーニングを行うのは故障のリスクがあります。時計修理に慣れている方や、やむを得ず自分で行うしかない方以外は専門店に依頼するようにしましょう。

重曹で行う方法

金属ブレスレットは、重曹でクリーニングできます。手順は次のとおりです。

①金属ブレスレットをケースから取り外す

②洗面器に重曹を入れ、金属ブレスレットを浸す

③10分程度置く。汚れがひどいときは20分程度置いておく

④金属ブレスレットを取り出し水で洗う

⑤金属ブレスレットについた水を柔らかい布で丁寧に拭き取り、しっかりと乾かす
※金属ブレスレットはネジやピンの部分に水が入り込んでいると拭き上げだけでは水気が取れないのでドライヤー等を使い完全に乾かしましょう。
水気が残ってしまうと錆等が出てベルトを痛める原因になります。

革ベルトのクリーニング方法

革ベルトで大事なのは普段からブラッシングや乾いた布で拭く等のメンテナンスを小まめに行うことです。洗浄しないといけないくらいに汚れてしまっている場合は基本的には交換を検討しましょう。革ベルトは基本的に消耗品だと捉えておいた方が良いでしょう。

それでも軽くメンテナンスを行いたいという方は以下を参考にしてみてください。

①革ベルトは、ベルトをケースから外す

②中性洗剤を水で薄めたものを布に含ませる。※あれば革専用の洗剤(クリーナー)のほうが良いです。

③革ベルトを痛め無いよう慎重に汚れをふき取る。

④水で濡らした布を固く絞り、洗剤等が残らないようふき取る。

⑤乾いた布で水気をふき取り風通しの良い日陰で干す
※この時日があたるところにおいてしまうとベルトが傷んだり色落ちの原因となるため注意しましょう。

⑥保革クリーム等を塗り抜けてしまった油分を補う
※常に肌に触れている部分なので、クリームの成分によってはかぶれてしまうことがあるので注意してください。

こうすることで、革ならではの光沢感を取り戻すことができます。

腕時計クリーニング業者の選び方

腕時計のクリーニングは、料金がかかっても専門店に依頼するようにしましょう。自分でクリーニングして、腕時計が壊れてしまうと修理費が高く付きます。費用を惜しんだ結果、より高額な修理費がかかっては元も子もありません。

しかし専門業者数が多く、どのように選べばよいのかわからないという方もいらっしゃるかと思います。ここでは、優良な業者の見極め方をご紹介します。

過去の実績は豊富か

腕時計を取り扱う業者の過去の実績を見れば、技術力の高さを確認できます。実績の数が多いほど、技術力が高いと言えます。なぜならそれだけユーザーから信頼されている、また対応できるブランドや修理範囲が広いことがわかるからです。とくに自分の持っているブランドの対応実績があるかの確認は重要です。

低価格帯のブランドにのみ対応している、反対に高価格帯のブランドにのみ対応しているなど、業者によって対応しているブランドが異なるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。依頼後に業者が対応していないブランドであることがわかると、時間と手間が無駄になってしまいます。

修理実績は、多くは公式サイトで掲載しているため、依頼を検討している業者のサイトを見てみると良いでしょう。

技術者が資格を持っているか

在籍している技術者が資格を持っているかの確認も重要です。時計の取り扱いには、国家資格である時計修理技能士や海外のWOSTEP認定などの資格が存在します。こうした資格を持っていることは、技術者の技能の高さを表しています。

価格が安い業者では、こうした資格を持っていない技術者が対応することもあります。一概に資格だけですべてを判断することはできませんが、資格は一つの技術力の高さの表れであるといえます。

どこまで対応してくれるか

クリーニングの対応範囲は、業者によって範囲が異なります。超音波洗浄では、ケースのみ、ブレスレットのみ、またはケースとブレスレットのセットなど、複数から選べるところもあれば、ケース・ブレスレットのセットのみのところもあります。また、クリーニングと電池交換、動作点検のセットで提供している業者もあるため、自分の目的や求める範囲にあった業者を選ぶようにしましょう。

K’s factory(ケイズファクトリー)の宅配修理

K’s factory(ケイズファクトリー)では、時計専門店様から数多くの難しい依頼を受けてきた経験豊富な技術者が皆様のご愛用の腕時計を的確に診断・修理いたしております。また、ほぼ全ての修理工程を自社工房内で完結しており、厳重なセキュリティシステムで責任をもって皆様の大切な腕時計をお預かりしておりますので、ぜひK’s factory(ケイズファクトリー)の宅配修理をご活用ください!

自分でできる手軽なクリーニング・お手入れ方法

時計の外装仕上げ
時計の外装仕上げ

腕時計を長く使い続けるには、日頃のクリーニングも重要です。日頃のお手入れとして、もっとも手軽なのは腕時計の汚れを拭き取ることです。毎日、腕時計を外したらマイクロファイバークロスやセーム革などの柔らかい布で腕時計全体を優しく拭き取るようにしましょう。

また、爪楊枝や綿棒を使うと、ベルトやリューズの隙間の汚れを落としやすいです。リューズの隙間を掃除する場合は、リューズが折れないように力を入れずに行いましょう。また、濡れたティッシュや布を使うのは、時計に水が侵入してしまうリスクがあるため、NGです。

まとめ

腕時計のクリーニング料金やどこで依頼できるのか、自分で行う方法や注意点について解説しました。腕時計のクリーニングは、日々のお手入れと、超音波洗浄、オーバーホールに分けられます。日々のお手入れはユーザー自身でもできますが、超音波洗浄やオーバーホールは、故障のリスクがあるため専門業者に依頼するようにしましょう。

腕時計のクリーニングを専門業者に依頼した場合の料金相場は、超音波洗浄が3,300円~5,500円、オーバーホールが22,000~55,000円です。クリーニングの対応範囲・ブランドは、業者によって異なるためあらかじめ確認して依頼するようにしましょう。

また、日々のお手入れや定期的なメンテナンスであるオーバーホールも欠かせません。腕時計を長く使い続けるためにも適切なケアを行うようにしましょう。

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