HUBLOT_BIG BANG_Steelの修理のポイント
今回はウブロのビッグバンをお修理させていただきました。
このお時計にはクロノグラフ機能・日付表示機能が搭載されています。
1.止まりの原因
お客様曰く、特に不具合が出なかったため購入から9年ほどノーメンテナンスだったとのことでした。
分解し中の機械を確認すると歯車の軸の部分に使われている油が劣化し若干の湿気入りが確認されました。
主な原因としてはこの油が原因で歯車の動きが重くなり、通常より早く止まってしまうような状態となってしまったと考えられます。
機械を分解・洗浄・注油しゼンマイを交換することで規定内の精度に収まりパワーリザーブ(動力の持続時間)も40時間以上持つようになりました。
2.外装の研磨
ご使用の頻度がかなり少なかった為、特に大きなキズ等は見られませんでしたがこの際なのでご一緒に外装もきれいにしたいとお客様よりご要望がございましたので外装研磨を致しました。
このモデルはケースが「ヘアライン仕上」という一直線に筋目をつけることで艶消しをするとともに金属の質感を際立たせるような仕上が施されています。
この直線が少しでも曲がったりすると違和感が出てしまいますので簡単なように見えて高い技術を要求される研磨法です。
ウラブタのサークル状に施されたヘアラインも旋盤等を使用することにより写真のようにきれいな仕上がりとなります。
この部分の仕上げは刻印の部分が研磨作業時にゆがんでしまわないよう、しっかりとマスキングをしたうえでウラブタの傾斜に沿って研磨ができるような技術者の知識と経験が求められる作業です。
まとめ
今回は長らくメンテナンスが行われていなかった為パッキン等が傷み内部に湿気が侵入したのが大きな原因となり油の劣化がひどくなってしまったのではないかと考えられます。
幸い、湿気による錆は見られませんでしたのでパーツはゼンマイのみの交換でお修理をすることが出来ました。
機械式のお時計は平均して3~4年に一度、オーバーホールされることを推奨しています。これは時計が遅れてきたり、止まってしまったりしなくとも内部の油やゴムでできているパッキンが劣化し
それが原因でのパーツの破損、錆の発生を極力抑えるためのメンテナンスの為でもあります。
パーツが破損してしまうとその分一度のお修理費用が高くなってしまう原因にもなりますのでそうなってしまう前にオーバーホールされることをお勧めしています。
ケイズファクトリーでは簡易お見積りだけでも大歓迎ですので今お持ちのお時計でご相談がございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。