「カルティエをオーバーホールに出そうと思ってるんだけど、料金ってどれぐらいかかるの?」
「正規サービスと修理専門店って、サービス内容にどんな違いがあるの?」
「依頼先のメリットとデメリットってどんなのがあるの?」
カルティエは、1847年にフランス・パリで創業された、名門のジュエリーブランドです。19世紀末に時計部門を設立し、1904年に世界初の男性用腕時計「サントス」を開発、1917年にカルティエを代表するモデル「タンク」が誕生しました。ジュエリーブランドながらも、メンズウォッチの歴史を切り開いたブランドなのです。
しかし、どんな名門ブランドのウォッチでも、劣化による不具合は避けられません。不具合を放置すれば、最終的に故障へとつながってしまいます。それを防ぐためにも、定期的なオーバーホールが不可欠なのです。
この記事では、カルティエのオーバーホール料金や具体的なサービス内容について、解説していきます。
最後まで読んでいただくと、以下のようなメリットがあります。
「依頼先によるカルティエのオーバーホール料金がわかる」
「正規サービスと修理専門店のサービス内容がわかる」
「各依頼先のメリットとデメリットがわかる」
ぜひこの記事を参考に、カルティエのオーバーホールを実施してください。
カルティエのオーバーホール作業の内容と依頼方法
カルティエのオーバーホールは、主にメーカーの「正規サービス」か「修理専門店」に依頼します。正規サービスではオーバーホール作業を含めた「コンプリートサービス」、修理専門店は基本的にオーバーホール作業のみです。しかし、これだけ聞いても、具体的な内容が浮かびにくいかと思います。
ここでは、各依頼先の作業内容と、依頼方法について解説していきます。
【正規サービス】「コンプリートサービス」の内容
カルティエの正規サービスは、オーバーホール作業を含めた「コンプリートサービス」になります。
内容としては以下になります。
〈コンプリートサービスの作業内容〉
・ウォッチの分解
・部品の交換(交換を同意したうえでの別料金)
・精度検査
・リフィニッシュ
・防水機能検査
・外観検査
最大の特徴としては、「リフィニッシュ」が入っている点です。「リフィニッシュ」とは、外装の細かいキズを取り除き、光沢を取り戻す作業です。ただし、金属の層を薄く取り除く作業であるため、カルティエ公式では5回以上の実施を推奨していません。
基本的なオーバーホール作業に「リフィニッシュ」を加える事で、網羅的なサービスを実現しています。
【正規サービス】「コンプリートサービス」の依頼方法
コンプリートサービスへの依頼は、カルティエのブティックに来店するのと、「オンライン」での申し込みと2通りの方法があります。
修理したいウォッチを持って、カルティエのブティックに直接来店すれば、その場で修理受付が出来ます。スタッフに希望すれば、預けた後の状況もオンラインで確認できるのです。
カルティエのスタッフに相談しながら受付ができるので、安心度は高いと言えます。
もう1つの手段であるオンラインでの申し込みは、以下の手順となります。
〈オンラインでの申し込み手順〉
1,「マイカルティエ」に登録
2,「修理を依頼」より申し込み
3, 自宅に梱包セットが届く
4, 時計を入れて送付
5, 修理完了後に指定の住所まで返送
近隣にブティックが無かったり、時間に余裕が無くても依頼できます。
【修理専門店】オーバーホール作業
修理専門店では、通常のオーバーホール作業となります。
〈オーバーホールの一般的な作業内容〉
・外装、機能の点検
・ウォッチの分解
・パーツと外装の洗浄
・パーツに注油
・組み立て
・防水、精度テスト
オーバーホール作業は、パーツへの注油や点検がメインになります。基本的には、正規サービスのような外装のリフィニッシュ作業はありません。しかし、修理専門店によっては、外装の研磨による新品仕上げをサービス価格で行うところもあります。
修理専門店は数が多いので、サービスに多少の差があります。選択肢が多いぶん、自分にとって適切な修理専門店を選ぶことができるのです。
【修理専門店】オーバーホールの依頼方法
修理専門店のオーバーホールは、正規サービスと同様の依頼方法となっています。
・修理専門店に直接来店する
・宅配サービスを利用する
カルティエのブティックも同様ですが、受付と引き取りで2回来店する必要があります。なるべく近所や通勤ルートなど、気軽に立ち寄れる場所にある店を選ぶことも重要です。もし近隣になければ、宅配サービスを利用するという手もあります。依頼したい修理業者が遠方でも、日本全国どこからでも依頼が可能です。
基本的にはネットから申し込んで、宅配キットを自宅に送ってもらう手順となっています。なので、正規サービスのオンライン申し込みと、ほとんど変わりません。ただし、全ての修理専門店で実施しているわけではないので、ネットで下調べしてから依頼する必要があります。
カルティエのオーバーホール料金と納期【正規サービスと修理専門店】
サービス内容が依頼先によって変動するなら、それに伴い料金も変動するのかは気になるところです。実際に、納期も含めて正規サービスと修理専門店では、ある程度の差が発生します。
ここでは、正規サービスと修理専門店のオーバーホール料金と納期。そして、一般的なオーバーホール頻度を解説していきます。
正規サービスの料金と納期
正規サービスのオーバーホール料金 | |
クォーツ | 39,160円〜 |
クォーツ・クロノグラフ | 64,900円〜 |
機械式 | 64,900円〜 |
機械式・クロノグラフ | 83,600円〜 |
クォーツ式と機械式はもちろん、2・3針のデザインか「クロノグラフ」かでも、料金は変わります。
理由としては、ムーブメントのパーツ数の違いです。
クォーツ=約50個
クォーツ・クロノグラフ=約100個
機械式=約130個~
機械式クロノグラフ=約250個~
「クロノグラフ」とは、腕時計に搭載されたストップウォッチ機能のことです。機能が増えるぶん、パーツの数も増えるので、オーバーホール料金もプラスとなるのです。
クォーツ式は、電子回路がパーツの役割を担っている為、パーツ数が少ないです。ただし機械式に関しては、全ての機能をパーツの組み合わせで動かしているので、どうしてもパーツの個数が多くなります。機能によってパーツ数の変動も激しいので、モデルによってオーバーホール料金は左右されるのです。
納期は約1ヶ月ですが、修理内容によって変動します。パーツ交換などが入ると、料金はもちろん納期も多少プラスになります。料金と納期はそれなりにかかりますが、正規サービスならではの安心感は強みと言えるでしょう。
修理専門店の料金と納期
修理専門店のオーバーホール料金 | |
クォーツ | 19,800円~ |
クォーツ・クロノグラフ | 30,800円~ |
機械式 | 36,300円~ |
機械式・クロノグラフ | 55,000円~ |
正規サービスよりも、オーバーホール料金は低くなります。修理専門店は、メーカーの正規サービスに比べて修理に特化していることが多く、そのぶん維持費が抑えられます。それが修理料金にも反映され、正規サービスよりも安くなるのです。
納期に関しても、正規サービスより早くなります。オーバーホール料金を抑えたかったり、早く手元に戻ってきてほしい場合は、修理専門店に依頼する事を検討してみましょう。
オーバーホールの推奨期間
〈機械式〉 |
3~5年に一度 |
ムーブメントのパーツに塗られた潤滑油の、おおよその耐用期限です。放置し過ぎると徐々に劣化してきたり、金属カスが溜まってスムーズに動作しなくなります。 |
〈クォーツ式〉 |
5~6年に一度 |
クォーツ時計のムーブメントにも、潤滑油が使用されています。安定した状態で長く使うなら、オーバーホールした方がよいでしょう。 |
内部の定期点検なので、オーバーホールは数年ごとに実施しなければいけません。正規サービスでは、購入してから5年後を推奨しています。
クォーツ式時計も、機械式時計と同様に歯車に油をさしているので、長期間経つと油切れを起こします。それにより、電池の消耗が早くなったり、時刻の遅れが大きくなるのです。
あくまで基準ですが、上記の推奨期間を過ぎると、時計に明らかな不具合が出る可能性があります。原因としては、パーツの破損などが多いので、オーバーホール時にパーツ交換が入ります。
結果的に高額な費用で納期も長くなるので、推奨期間内にオーバーホールでメンテナンスを行いましょう。
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カルティエのオーバーホールにおけるメリットとデメリット【正規サービスと修理専門店】
各依頼先のメリットとデメリットを知ることは、オーバーホールの依頼先を決めるにあたっての判断基準となります。
ここでは、正規サービスと修理専門店のメリットとデメリットを、それぞれ深掘りして解説していきます。
【正規サービスのメリット】安心感の高いサービス
正規サービス最大のメリットは、「安心感」です。
自社ブランドの商品であるため、修理に使用するパーツが純正品であることが保証されています。モデルが廃盤にならない限り、純正品のパーツを使用して修理してくれるのです。さらに正規サービスは、カルティエの時計に関して専門知識を持つ技術者が修理を行います。高度な修理技術と専用のノウハウで、最適な作業を行ってくれるのです。
オーバーホールは、時計修理の中で最も難解な作業となります。純正パーツの使用と、専門知識を持った技術者による最適な作業は、依頼する側としては安心できるポイントです。
【正規サービスのデメリット】料金が割高になる
修理専門店に比べて、基本的に正規サービスの方が割高になります。
正規サービスでは、交換するパーツはすべて純正品で、専属の技術者がオーバーホールを行うため安心して依頼できます。しかしその分、オーバーホールにかかる費用は高額で納期もかかってしまうのです。日本中から送られる修理品に対応するため、技術者の確保や工房もそれなりの規模にする必要があります。そのため、維持費などでどうしてもコストがかかってしまうのです。
しかし、正規サービスとしての安心感を提供するための、必要なコストでもあるのです。
【修理専門店のメリット】料金が安くなる
修理専門店のメリットは、修理料金が安くなることです。
主な理由としては、完全自社完結型で作業をしているという点にあります。他の店に修理依頼をすることがないので、委託料等が掛からないため比較的コストを抑えた修理が可能です。他にも、最近は実店舗ではなくネット店舗もあります。実店舗を構えた時のコストがないため、修理費に還元できているパターンもあるのです。
オーバーホール料金は定期的にかかるうえに、高額です。修理専門店なら、安く抑えられます。
【修理専門店のデメリット】修理対応できないパターンもある
自社製ムーブメントや外装は、メーカーの独自技術によるものです。そのため、修理専門店に依頼しても、パーツが入手できないものは対応できない可能性があります。
カルティエでいうと、2010年からは自社製自動巻きムーブメントを搭載したモデルも発表しています。外装に関しても、特殊加工や宝石を使用したカスタム仕様のモデルがあります。そのようなウォッチは自社対応が前提なので、修理専門店では難しいのです。(パーツが入手できるモデルの物であれば対応できることもあります。)
しかし、クォーツの電子回路を純正パーツで対応できたり、アンティークでも修理実績があれば、修理できる可能性はあります。もし気になる修理専門店があれば、自分の持っているカルティエのウォッチが対応可能かどうか、問い合わせてみましょう。
まとめ
カルティエのオーバーホール料金を、正規サービスと修理専門店をメインに解説してきました。
この記事をまとめると以下になります。
正規サービスのオーバーホール料金 | |
---|---|
クォーツ | 39,160円〜 |
クォーツ・クロノグラフ | 64,900円〜 |
機械式 | 64,900円〜 |
機械式・クロノグラフ | 83,600円〜 |
修理専門店のオーバーホール料金 | |
---|---|
クォーツ | 19,800円~ |
クォーツ・クロノグラフ | 30,800円~ |
機械式 | 36,300円~ |
機械式・クロノグラフ | 55,000円~ |
カルティエのオーバーホールにおけるメリットとデメリット | メリット | デメリット |
---|---|---|
正規サービス | 安心感の高いサービス | 料金が割高になる |
修理専門店 | 料金が安くなる | 修理対応できないパターンもある |
オーバーホール料金は、決して安いものではありません。そのうえ、自動車の車検と一緒で数年おきに実施する必要があります。
「正規サービス」と「修理専門店」それぞれの料金やメリット・デメリットを比較して、自分にとって適切と思う依頼先でメンテナンスを行いましょう。