機械式時計のオーバーホールについて、信頼できる修理業者のポイント4選を解説

時計の修理風景

機械式時計は、長期間にわたり所持していると、ムーブメントに使用されている油や部品が劣化してきます。

セルフメンテナンスができる外装はともかく、内装に関してはほとんど防ぎようがありません。油や部品が劣化することで、時刻が大幅にズレたり、本来の機能が使えないなどの問題が発生します。

これらの問題を解決する手段は、腕時計のオーバーホールです。非常に高い技術と知識が求められるので、修理業者に依頼して、プロの手で作業してもらう必要があります。そして、大事な時計を預けるからには、信頼できる業者に預けたいものです。

この記事では、機械式時計のオーバーホールを依頼する際の、修理業者の選び方について解説していきます。

最後まで読んでいただけると、以下のようなメリットがあります。

・機械式時計のオーバーホールについてわかる
・信頼できる修理業者を選ぶ際のポイントがわかる
・セルフメンテナンスで不要な修理を防げる

オーバーホールは自分で出来ないうえに、所持している間は定期的に依頼する必要があります。早い段階で、信頼できる業者選びのポイントを把握しておきましょう。

機械式時計のオーバーホールについて

時計のオーバーホールの風景

機械式時計にとって、オーバーホールは欠かせないメンテナンスです。

機械式とは、ゼンマイがほどける際に発生する回転エネルギーを利用して、針を動かす機構のことです。ムーブメントには100個以上のパーツが使用されており、機能が増えるたびにパーツの数や複雑さが増していきます。

多くのパーツが使用されている分、油切れや摩耗などによる機能の問題が発生します。手荒な使用によるものならまだしも、経年劣化は防ぎようがありません。そのため、定期的なオーバーホールが必要になります。時計の内部を解体し、洗浄や注油をすることで元の状態に近い精度が復活して、時計自体の長寿命化にもつながります。

車の車検と同様に、適切なメンテナンスで長く使用するために不可欠な作業なのです。

オーバーホールの作業内容

オーバーホールは作業工程が多く、非常に手間がかかります。専用の工具はもちろん、クリーニングや機能調整するための機械まで使いこなさなければいけません。具体的な作業例は以下になります。

①外装と内装をそれぞれ分解
②内装専用の超音波洗浄機で内装パーツを洗浄
③外装専用の洗浄機で外装パーツも洗浄
④潤滑油をパーツに注油していく
⑤分解した外装と内装を組み立てていく
⑥ムーブメントの精度や防水性能をそれぞれ専用の機械でテストする

これらの作業を、時計修理に精通したプロの手で進めていきます。機械式時計のオーバーホールは、細かい部品1つ1つに気を使う精密で高度な技術が求められるのです。

オーバーホールの頻度

機械式時計のオーバーホールは、3〜5年ごとにするのが一般的です。目安としているのは、ムーブメントに使用されている潤滑油の「油切れ」です。

ムーブメントの各パーツには、スムーズに動作するために潤滑油が塗られています。3〜5年で劣化してしまうので、定期的に注油する必要があるのです。

油が劣化すると、歯車の摩耗が激しくなったり、時計の大幅な時刻ズレの原因になります。腕時計の不具合が明確に出てくる前に、購入から早くても3年、遅くても5年経過したらオーバーホールを依頼する必要があります。

機械式時計のオーバーホールを修理業者に依頼する【信頼できるポイント4選】

機械式時計は、定期的なメンテナンスを行うことで長期間使用することができます。そのためにも、定期的なオーバーホールをしなければいけません。しかし、オーバーホールは高度なスキルと知識が要求されるため、素人には不可能な作業です。適切な作業をしてもらうためにも、安心できる修理業者にオーバーホールを任せることです。

しかし、いざ調べてみてもどこに依頼すればいいかわからないと思います。そこで、安心して依頼できる修理業者のポイントを、4つに絞ってご紹介します。

1、技術者の保有資格

最大の安心ポイントは、在籍しているスタッフの技術力です。それを確認するために、具体的には「腕時計修理技能士1級」の資格を持ったスタッフが在籍しているかを確認しましょう。

腕時計修理技能士」とは、国内で唯一の時計修理資格です。3級から1級まであり、機械式時計のオーバーホールができるのは1級だけです。資格の保有について記載されていなくても、技術力があるということがハッキリ明言されていれば安心材料といえます。

技術力を確認したいときは、修理業者のサイトで在籍している技術者の保有資格や、技術力を明言しているコメントなどをチェックしましょう。

2、パーツを製作できる

保有資格以外で技術力の証明になるのが、パーツ制作です。

交換に必要なパーツがどうしても手に入らない場合は、新たに制作する修理業者もあります。例えば、メーカーに修理を依頼してパーツ交換が必要になっても、ストックがない場合は修理不可になることがあります。しかし、パーツ制作ができる業者なら、修理できる可能性があるのです。

非常に高い技術が要求されるので、実施している修理業者は多くありません。パーツ制作ができるという事は、それだけで高度な技術力があるという明確な証明になるのです。

3、豊富な修理実績

修理業者のサイトで、今までの修理実績をチェックしてみましょう。様々なブランドやモデル、時計機構の修理実績があると安心して任せられます。

自分の所持している腕時計と、同じブランドや機能の修理実績があれば、それだけで大きな安心感となるのです。

掲載されている内容としては、主に以下の項目があります。

・時計の写真
・時計の型番
・修理料金
・修理内容
・修理期間
・お客様の声

かなり具体的に知れるので、気になった修理業者があれば一度サイトの修理実績をチェックしましょう。

4、宅配サービスがある

依頼したい修理業者が見つかっても、あまりにも遠方だと依頼をあきらめなければなりません。しかし、最近は宅配サービスをしている修理業者も存在します。

例えば、サイトから必要事項を入力して宅配修理の申し込みをします。その後、修理業者から宅配するためのキットが送られてくるので、梱包して送るだけです。

送ったら修理開始ではなく、見積もりも出してくれるので、そこで最終的な判断をすることも出来ます。

オーバーホールを依頼したい修理業者が、宅配サービスをしているかもチェックしましょう。

K’s factory(ケイズファクトリー)の宅配修理

K’s factory(ケイズファクトリー)では、時計専門店様から数多くの難しい依頼を受けてきた経験豊富な技術者が皆様のご愛用の腕時計を的確に診断・修理いたしております。また、ほぼ全ての修理工程を自社工房内で完結しており、厳重なセキュリティシステムで責任をもって皆様の大切な腕時計をお預かりしておりますので、ぜひK’s factory(ケイズファクトリー)の宅配修理をご活用ください!

機械式時計のオーバーホール料金の相場と修理期間

料金、費用

オーバーホールを依頼するにあたって、やはり気になるのは修理料金と修理期間です。

ここでは、オーバーホール料金の相場と修理期間をご紹介します。依頼する際の事前チェックとして参考にしてください。

オーバーホール料金の相場

機械式(手巻き)=18,000円~
機械式(自動巻き)=19,000円~
機械式(クロノグラフ)=29,000円~

機械式時計には、メインとなる機能が2つあります。手でリューズを回してゼンマイを巻き上げる「手巻き」と、装着した時の腕の振りを利用してゼンマイを巻き上げる「自動巻き」です。ストップウォッチ付きの「クロノグラフ」になると、部品の数が50個ほど増えるのでさらに高額となります。

手巻きと自動巻きはあまり料金が変わりませんが、自動巻きには「ローター」というゼンマイを巻き上げるパーツがプラスされている分、ほんのわずかに上がります。

いずれも最低料金ですので、ブランドやその他の機能、パーツ交換でさらに上がってきます。

オーバーホール期間

オーバーホールの修理期間は、3週間〜4週間となります。作業工程が多いので、修理期間は比較的長くなりがちです。

3針のシンプルなタイプならまだ早い方で、3週間もあれば完了します。クロノグラフなら4週間ほどで、ムーブメントが複雑な機構だったりすると4週間を超えることもあるのです。

しかし、これらはあくまで目安の期間です。修理業者の混雑状況だったり、パーツ交換の有無で変動してきます。

機械式時計のセルフメンテナンス

時計の部品
時計の部品

機械式時計の劣化は、ある程度ですが抑えられます。オーバーホールは自分で行うのは不可能ですが、外装部分は自分で手をメンテナンスをすることが可能です。

腕時計は、着用している間は常に肌に触れているので、意外に汚れています。特に金属バンドは、コマの間に汗や汚れが蓄積しやすくなっています。汚れた状態で放置すると、外装部分の劣化や故障につながるのです。

オーバーホール作業だけと思って修理を依頼したら、見積もりで外装の修理がプラスされることになりかねません。

難しい作業はないので、ぜひ実践してみてください。

使用後にクロスで全体を拭く

着用後は、専用のクロスで腕時計の外装部分をすべて拭くようにしましょう。

腕時計を外した後に、汚れや汗を残したまま長期間にわたり放置すれば、外装部分が劣化します。本来オーバーホールだけで済むところが、余分な修理まで発生してしまう可能性があるのです。具体的には、以下のような劣化が挙げられます。

・金属部分のサビ
・ネジのサビ
・メッキがはがれる
・コマのピンが汚れで削れて抜けてしまう

サビやメッキのはがれは素人では処理できないので、基本的にはパーツ交換の対応になります。ピンのスキマに汚れが溜まると、摩擦や腐食で削れて細くなっていきます。すると、最終的に細くなりすぎてピンが抜けてしまうのです。もし着用時にピンが抜けると、腕から外れてしまい、地面に落ちた衝撃でさらに故障が増えてしまいます。

できれば着用のたびに、クロスで全体を拭いて風通しの良い日陰で乾燥させましょう。ただし、金属バンドのコマのスキマに関しては、クロスで汚れが取りきれないので綿棒で掃除してください。

磁気の強い製品に近づけない

腕時計を着用しているときも保管するときも、磁気の強い製品には近づけないでください。

磁気帯びの原因になりやすい製品は、以下になります。

・パソコン
・スマホ・タブレット
・スマホ・タブレットのケース(手帳型等磁石が入っているもの)
・AV機器
・家電
・カバンの留め具

強い磁気が発生する製品のそばに時計を置くと、ムーブメントのパーツに帯磁して、精度不良や動作不良などのトラブルが発生します。

クォーツ式時計なら時刻調整すれば問題ありませんが、機械式時計は1度でも帯磁すると磁気を抜くために修理に出さなければいけません。

とはいえ、基本的には近づけないだけで大丈夫です。不要な修理がかからないように、磁気の強い製品には注意しましょう。

まとめ

機械式時計のオーバーホールは、信頼できる修理業者に依頼しましょう。

オーバーホールそのものが、高度なスキルと知識が必要なため、自分で作業することは不可能です。そのため、どうしても修理業者に依頼することになります。

しかし、修理業者によって技術力やサービス内容にムラがあります。自分で情報を拾って、しっかりと見極める必要があるのです。

修理業者を選ぶポイントとしては、以下の4点になります。

①技術者の保有資格
②パーツを製作できる
③豊富な修理実績
④宅配サービス

オーバーホール料金と修理期間ですが、最低でも約18,000円は想定しておきましょう。クロノグラフなら、そこからさらに約10,000円はプラスされます。修理期間は3〜4週間です。修理内容や修理業者の状況で変動しますので、気になる場合は、見積もりを依頼すれば修理内容と共に納期が確認できます。

機械式時計は、ただでさえオーバーホール料金がかかります。不要な修理を抑えるためにも、セルフメンテナンスをしてみましょう。特にゼンマイを動かすことは、潤滑油が固まることによるパーツの破損を防げます。パーツ交換の頻度を減らせるので、オーバーホール料金の削減にもつながります。

機械式時計は、定期的なオーバーホールで、長期間の愛用が可能です。そのためにも、修理業者を適切に選んでオーバーホールを依頼しましょう。

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