腕時計のオーバーホール 料金の目安や期間と頻度、見積もりの取り方まで全て解説

時計の修理風景

腕時計は長く使えば使うほど少しずつ精度が低下していくため、オーバーホールを行うことが必要となります。オーバーホールとは、腕時計の動力源であるムーブメントを分解し、部品の交換や洗浄・注油を行うことで、腕時計を正常な状態に戻す作業のことをいい、オーバーホールには様々なメリットがあります。

一方で費用がかかってしまうなどのデメリットもありますので、この記事では時計のオーバーホールについて、料金の目安や期間と頻度、見積もりの取り方などを詳しく解説することで、オーバーホールを検討されている方が納得して依頼ができるようにまとめております。オーバーホールをご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

腕時計のオーバーホールとは

腕時計を長く愛用するためには、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。その中でもオーバーホールは腕時計を正常に動かすために欠かせない作業のひとつです。

オーバーホールとは、腕時計を分解し、部品の洗浄や交換を行う作業で、正確な時間を刻むために必要な機能や精度を正常な状態へと回復させることを目的に行います。腕時計は、百個前後の小さな部品で構成されていますが、その中でも特に高い精度が求められるムーブメントの部分には摩耗が生じやすく、腕時計が動かなくなったり、歩度が遅れたりすることがありますので、オーバーホールによって1つ1つの部品をチェックすることで、これらの問題を解決します。

オーバーホールでは、部品の分解・洗浄・交換の他にも、注油やブレスレットの研磨、歩度の精度調整などの作業があり、これらの作業は時計の専門知識と専用の機材の技術が必要なため、自分で行うことはお勧めできません。また、腕時計の種類によっては、オーバーホールの方法や手順が異なる場合がありますので、時計修理業者やメーカー正規店に依頼するようにしましょう。

次では、オーバーホールのメリットについて詳しく説明します。

腕時計のオーバーホールのメリット

腕時計のオーバーホールには様々なメリットがあります。1つ目のメリットは、腕時計の寿命を延ばすことができる点です。製品によっては一生物と言われることもある腕時計ですが、それも定期的なメンテナンスがあってのこと。腕時計は多くの精密部品で構成されており、長く使用することで少しずつ劣化や酸化・サビ、摩耗や腐食などが発生し、その結果、部品の破損にもつながります。あまりにも破損状況がひどい場合には、修理ができない状態になることも。定期的なオーバーホールを通してパーツの状態を点検し交換や修理を行うことで、腕時計の寿命を延ばし長く使用することができ、万が一の故障の場合でも最小限の部品交換で修理が可能となります。

オーバーホールの2つ目のメリットは腕時計の機能の低下を防ぐことができる点です。長期間使用していると、ムーブメントやパッキンに問題が生じることがあります。ムーブメントに問題が生じると正確な時刻を表示できなくなりますし、パッキンが劣化すると防水性が低下し時計内部への浸水からサビの発生や、故障の原因となってしまいます。オーバーホールで原因となっている部品の取り替えや定期的な洗浄を行うことで、腕時計の機能低下を未然に防ぎ、いつでも精度の高い状態で腕時計を使っていただくことが可能です。

オーバーホールの3つ目のメリットは腕時計を美しい状態に戻すことができる点です。毎日使用する時計ですので、できれば綺麗な状態で身につけたいものです。ですが、時計のケースやブレスレットなどは長期間使用することで傷がついたり、皮脂や石鹸カス等の汚れがたまったりすることがあり、少しずつ見た目の印象が悪くなってしまいます。また、毎日使っていると些細な変化に気が付きにくく、ついそのまま長く使用してしまいがちです。オーバーホールでは、超音波洗浄機や専用の洗浄機を使用して汚れや垢、サビなどを取り除き、ポリッシュと呼ばれる研磨作業も行うことで、新品と見違えるようなツヤや輝きを取り戻すことができますので、より楽しく清潔に腕時計を身につけることができるようになります。

以上のように、オーバーホールには「寿命を延ばす」、「機能低下防止」、「美しさの復活」といったメリットがあります。もちろん、オーバーホールにはメリットだけでなくデメリットもありますので、それについても解説していきます。

オーバーホールのデメリット

オーバーホールのデメリットは、やはり作業期間と費用がかかることが挙げられます。また、オーバーホールの依頼先によっては、時計本体に傷や汚れがついたり、故障が治らずに戻ってくる可能性もあります。

一般的に、腕時計のオーバーホールは部品の摩耗具合や機能低下防止の観点から、3~5年に1度程度行うのがよいと言われており、この頻度でオーバーホールの費用や作業時間が発生してしまうことがデメリットとして挙げられます。

実際にかかる費用は腕時計の種類や故障具合、修理の依頼先などによって大きく変わりますが、1つの目安として数万〜十数万円ほどと言われています。腕時計自体が高級品ですので、壊れてしまって新しい時計を購入するよりかはオーバーホールをした方が安くなる場合も多いと思いますが、それでも1回あたりの費用はそれなりにかかってしまうことは知っておく必要があります。また、オーバーホールの作業時間は、種類や状態、オーバーホールの依頼先によって前後いたしますが、早ければ3週間、長い場合には3ヶ月ほど必要となりますので、その間は別の腕時計を準備しておくことも必要となります。

腕時計によっては、オーバーホールを行っても故障が治らずに戻ってくる場合や、最悪の場合には傷や汚れがつくこともあります。これはオーバーホールを依頼した会社の技術による部分も大きいですが、修理すべきパーツがすでに生産終了していたり、あまりにも古いモデルのために対応できない場合などにも起こりえます。しかし、これらのデメリットは、信頼できる修理業者を選ぶことで回避することができますので、選択の際には実績、口コミ評価などを確認するようにしましょう。

腕時計のオーバーホールの料金の相場

簡易見積り

腕時計のオーバーホールの料金は、種類、ブランド、修理業者などによって大きく異なります。以下では、オーバーホールの相場を参考にするために、メーカー正規店と修理業者に分けて説明します。

メーカー正規店

メーカー正規店では、各ブランドのオリジナルパーツを使用することができ、また自社ブランドのオーバーホール作業に特化しているため、高品質で正確な作業を行うことができます。また、メーカー正規店は長年の信頼と実績を積んでおり、質の高いサービスを提供することで知られています。

ただし、メーカー正規店でのオーバーホールは、一般的に高い料金になりやすい傾向があります。特に高級ブランドの場合、時計の生産数の関係もあってパーツ自体の生産が少ない場合もあり、入手が難しい場合には、より高額な料金となる場合があります。また、正規店の場合は修理期間が比較的長くなる傾向があるため、急ぎの場合にはあまり適していないと言えます。

例えば、ロレックスの場合、オーバーホール費用は平均50,000円〜100,000円程度となり、納期も早くて約4週間、パーツの取り寄せなどが必要な場合には約8〜12週間はかかります。その他のブランドでもロレックスと同等か、それ以上の費用・納期が必要です。

予算に余裕があり、長い期間をかけて丁寧に修理してもらいたい場合などに、メーカー正規店でのオーバーホールを検討しましょう。

腕時計の修理業者

腕時計の修理業者は数多く、オーバーホールの料金もそれに合わせて様々な価格帯がありますので、自分の目的・予算に合わせた業者選びが重要です。

一般的に修理業者では、メーカー正規店と比べて利用するパーツや保証期間が異なる場合がありますが、料金が安く、作業時間も短くなる傾向があります。修理業者によって料金相場は異なりますが、オーバーホール費用は平均30,000円〜50,000円程度の場合が多く、納期も早ければ約3週間、平均して約4週間ほどで行う業者が多いです。

なお、上記の相場よりも安い料金や短い納期でオーバーホールを行っているところもありますが、品質に問題がある場合も0ではありませんので、十分に注意する必要があります。安い料金でオーバーホールを提供する修理業者の一部では、部品交換を省略したり、清掃を十分に行わないなどで作業工数を減らすことで低価格・短納期を実現している場合があります。そのため、オーバーホールを依頼する際は、信頼できる修理業者を選ぶことが重要です。事前に評判や口コミ、実際の作業内容などを調べて、オーバーホール後にトラブルが生じる可能性を低くするようにしましょう。

また、修理業者を利用する際には評判だけを鵜呑みにせず、修理業者としっかりとコミュニケーションを取り、料金や保証期間、作業時間なども必ず確認してください。加えて、修理業者によっては、メーカー正規店では対応できない古い腕時計(パーツ生産・保管が終了したものなど)でも、パーツ作成から対応してくれる業者もいますので、まずは自分の希望を修理業者にしっかりと伝え「こんなはずではなかった」をなくすようにしましょう。

腕時計のオーバーホールの見積もりの取り方

腕時計のオーバーホールをする場合、修理業者やメーカー正規店に見積もりを依頼する必要がありますので、ここではオーバーホールの見積もりを取る際のポイントを紹介します。

なんといってもやはり、複数の業者や店舗から見積もりを取ることが重要です。複数の見積もりを比較することで、適正価格でオーバーホールを行える業者を選ぶことができます。また、料金だけでなく、作業内容や期間、保証内容についても比較しましょう。

なお、見積もりを取る際には、オーバーホールの対象となる時計の詳細な情報を伝えることが大切です。時計の種類やメーカー、型番、製造年、これまでのオーバーホールの有無などを伝えることで、修理に必要な部品や作業内容を正確に見積もることができます。

また、オンライン見積もりサービスを利用することもできます。オンライン見積もりサービスでは、修理やオーバーホールに必要な情報を入力することで、簡単に見積もりを取ることができます。ただし、オンライン見積もりはあくまで目安の金額のため、正確な見積もりは実際に腕時計を診断してもらう必要があります。特に、外観からではわからないパーツの不具合などがある場合には、オンライン見積りから金額が上がる場合も多いですので、注意しておきましょう。

腕時計を診断してもらう場合、修理店舗に持参して診断してもらうことはもちろん、郵送でやり取りが可能な業者も増えています。信頼できる店舗が近くにない場合でも安心してお任せできますので、郵送修理を行なっている修理業者も候補に入れるのがよいでしょう。

以上が、オーバーホールの見積もりを取る際のポイントです。複数の業者や店舗から見積もりを取り、適正価格でオーバーホールを行うことが大切です。また、詳細な情報を伝えることや信頼できる業者を選ぶことで、より安心してオーバーホールを行うことができます。

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腕時計のオーバーホールを行う適切なタイミング

腕時計のオーバーホールは、機能・精密性を維持するために定期的に行う必要があります。そのため、オーバーホールを行う適切なタイミングを知っておくことは、時計を長く愛用する上で重要なポイントです。

まず、故障などの症状が生じた場合はオーバーホールを行うタイミングです。例えば、時計が止まった、遅れる、異音がした、などの場合は原因を修理するためにもオーバーホールが必要になります。また、防水性能の低下(サビなどが見られる場合)や外装の傷など状態が悪化した場合も、オーバーホールのタイミングとなります。

さらに、上記のような症状が発生していなくとも、長年利用している場合もオーバーホールのタイミングとなります。時計の動力源であるムーブメントは長く利用すると摩耗し、正確さや性能の低下につながります。症状がまだ出ていない場合でも、腕時計内部で摩耗が進んでいますので定期的なオーバーホールで部品の交換やメンテナンスを行うことが大切です。

オーバーホールの頻度は、使用頻度や保管状況によって異なりますが、一般的には3~5年に1回程度が推奨されています。特に複雑な機能を持つ時計は、より定期的にオーバーホールを行う必要があります。ご自身の腕時計がどのくらいの頻度でオーバーホールをした方が良いか不安な場合には、ぜひ修理業者に相談してみましょう。適切な時期を提案してもらえるはずです。

この他にも、クォーツ式において何年も使用していなかった時計を再度利用する場合も、利用前にオーバーホールを行うことを推奨します。

クォーツ式の時計を長期間利用しない場合、電池を外して保管をすることで漏液を防ぐことが可能です。ただし、漏液を防ぐことができても、時計内の油が固まっていたり、埃やサビなどが内部に溜まっていたりする場合があるため、久しぶりに時計を使用する際に、電池を入れても不具合が出てしまうこともあります。その場合には必ずオーバーホールを行いましょう。

以上のように、故障などの症状が生じた場合や、長年利用している場合、しばらく保管していた腕時計を再度使用する場合など、適切なオーバーホールのタイミングがあります。日常的な手入れとともに、このようなタイミングを見極め、適切なタイミングでオーバーホールを行うことで、時計を長く愛用できるようにしていきましょう。

腕時計を長く使うためには

腕時計を長く使うためには、特に以下の3点がとても大事です。オーバーホール以外にも日々のお手入れや丁寧な使い方、そして適切な保管を意識しましょう。

1. 日々のお手入れ

腕時計は日常的に外気に晒されたり、皮脂や汗、ホコリ、水滴などの汚れが付着したりするため、日々のお手入れが大切です。付着した汚れは柔らかい布で軽く拭き取るようにしましょう。また、スポーツやアウトドアなどで激しい運動をする場合は、汗をかいたり衝撃を受けたりすることがあるため、できるだけ外すように心がけましょう。

2. 丁寧に利用する

腕時計は高精度な機構を有しており、精密な動作をするために多くのパーツが組み込まれています。そのため、粗暴な取り扱いや過剰な力を加えることで、パーツが破損したり機能が低下することがあります。また、腕時計を使用する際には適切な設定や操作が必要です。腕時計の取扱説明書を確認し、正しく使いましょう。

3. 保管場所に気を付ける

腕時計は温度や湿度、磁気などによっても機能に影響を受けます。特に精密なパーツは磁気に弱く、PCや家電など、ご家庭には磁気を発するものが身近に多くありますので注意が必要です。また、腕時計を長期間保管する場合には湿気や直射日光などから守るため、防湿性能の高い専用のケースや箱に保管するのがよいでしょう。

まとめ

腕時計のオーバーホールについて、メリット・デメリットや料金の目安や期間、頻度、見積もりの取り方などについて解説してきました。腕時計を長く使うためには、日々のお手入れ、丁寧な利用、適切な保管場所に気を付けながら、定期的にオーバーホールを行うことが重要です。腕時計を長く愛用できるように、適切なタイミングでオーバーホールを行いましょう。

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