「腕時計のムーブメントについて知りたい」
「ブランド独自のムーブメントとかあるの?」
「どんなムーブメントでもオーバーホールって必要なの?」
この記事は、上記のような疑問に答えていく内容となっています。
腕時計のムーブメントは、時計の心臓部とも言える重要なパーツです。
そのため、最低限の知識を持っておいても損はありません。
この記事では、腕時計のムーブメントについて、主要なムーブメントからオーバーホール依頼まで網羅的に解説します。
最後まで読んでいただくと、以下のようなメリットがあります。
「腕時計のムーブメントについて網羅的にわかる」
「人気ブランドの独自ムーブメントについてわかる」
「ムーブメントに不可欠なオーバーホールの必要性が分かる」
時計のムーブメントと対処について、理解を深める機会となれば幸いです。
腕時計の主要なムーブメント
腕時計には、基本となるムーブメントが2種類あります。
さらにその2種類をベースにして、様々な機構が作られているのです。
・機械式ムーブメント
・手巻き
・自動巻き
・クォーツ式ムーブメント
・ソーラー機能
・電波機能
上記のムーブメント及び機能が、現在の腕時計のメインとなっています。
これらについて詳しく解説していきます。
機械式ムーブメントとは?
機械式ムーブメントとは、「ゼンマイ」の力で針を進めて時を刻みます。
『駆動のメカニズム』
①ゼンマイを巻き上げる。
②ゼンマイがほどける際に回転エネルギーが生まれる
③テンプやアンクルなどの「調速・脱進機構」で間隔調整
④秒針や分針に連動するそれぞれの歯車類へエネルギーが順番に伝わる
⑤歯車が針を動かす
『時刻の精度』
・日差+15~-20秒
その起源は非常に古く、13世紀ごろに基本となる時計が制作されたと言われています。
まさに時計の原点ともいえる、長い歴史と伝統があります。
そして、機械式ムーブメントのなかでも「手巻き」と「自動巻き」がメインの機構となるのです。
手巻き
手巻きの機械式時計は、動力源であるゼンマイを文字通り手で巻き上げる機能です。
歴史も古く、17世紀ごろに開発された懐中時計が起源とされています。
具体的には、時計の側面にあるリューズと呼ばれる部分を回します。
手間はかかりますが、愛着がわくポイントとして支持する人も少なくありません。
自動巻き
自動巻きの機械式時計は、動力源であるゼンマイを「ローター」で巻き上げる機能です。
ローターとは、自動巻きのムーブメントに搭載されている半円形のパーツです。
腕の振りに合わせてローターが回転し、ゼンマイを巻き上げてくれます。
手巻きの様に、リューズから巻き上げることができるモデルもあります。
クォーツ式ムーブメントとは?
クォーツ式ムーブメントは、ゼンマイの代わりに「電池」を使って駆動させます。
そして、「テンプ」や「アンクル」などスピード調整の機構を、「水晶振動子」と「IC回路」に置き換えたことで高精度が実現しました。
『駆動のメカニズム』
①水晶に電圧をかける
②水晶が規則的に振動する
③IC回路が正確に感知・カウント
④1秒分に達したら信号を送る
⑤ステップモーターが針を1秒分動かす
『時刻の精度』
・月差+15~-20秒
クォーツ式ムーブメントは、1969年「セイコー」によって開発されました。
機械式ムーブメントを凌駕する高精度に、「クォーツショック」と呼ばれるほどの衝撃を時計業界にもたらしたのです。
そして、クォーツ式ムーブメントでは「ソーラー機能」と「電波機能」がメインの機能となっています。
ソーラー機能
ソーラー機能は、太陽光や人工光を電力に変換して動作します。
文字盤から光を受け、中に組み込まれた「ソーラーセル」によって電力に変換されます。
変換された電力は、そのまま「二次電池」に蓄えられるのです。
・一次電池=内部の電圧が使用によって消費される
・二次電池=光エネルギーから電圧を充電する
そのため、ソーラー時計は充電している限り止まる事はありません。
しかし、ムーブメントの経年劣化によるオーバーホールは必要です。
電波機能
電波機能は「標準電波」を受信し、自動的に時刻と日付けを修正します。
この標準電波は10万年に1秒しか誤差の生じない、「セシウム原子時計」で作られています。
そのため、非常に正確な時刻表示となるのです。
うるう年にも対応しており、利便性の高いムーブメントです。
腕時計の独自ムーブメント【主要メーカーから5選】
「機械式ムーブメント」と「クォーツ式ムーブメント」が中心となっていますが、時計ブランドの中では独自開発したムーブメントもあります。
①ロレックス:パーペチュアル
②オメガ:コーアクシャル
③ウブロ:ウニコ
④セイコー:9Rスプリングドライブ
⑤セイコー:9Fクォーツ
ここでは、国内外で人気なブランドに絞って、「独自ムーブメント」について解説していきます。
①ロレックス:パーペチュアル
ロレックスが1931年に開発した「パーペチュアル」は、360度回転式ローターを搭載した自動巻きムーブメントです。
『パーペチュアルの特徴』
・ゼンマイを巻き上げるローターが360度回転する(従来のローターは90度回転)
・両方向巻き上げでローターの回転方向に関係なくゼンマイを巻き上げる
・全回転式ローターにより巻き上げ効率を向上
パーペチュアルは、ロレックスの代表的な機構であり、多くのモデルに搭載されています。
特に「オイスター パーペチュアル」は、ロレックスの基幹モデルとして人気を博しています。
機械式時計の歴史において画期的であり、現代の自動巻き時計の原点といえるでしょう。
②オメガ:コーアクシャル
オメガの「コーアクシャル」は、1974年にジョージ・ダニエルズ博士によって開発された脱進機(時刻調整機)です。
『コーアクシャルの特徴』
・ パーツ同士の摩擦を軽減することで破損のリスクが軽減
・油切れが起きにくいので長期間にわたって高精度を維持できる
パーツの摩擦が軽減されると、オーバーホールの頻度も長期化されます。
自ずと、ランニングコストの削減にもなるのです。
コーアクシャルは、機械式時計の精度と耐久性を向上させた画期的なムーブメントです。
③ウブロ:ウニコ
ウブロの独自ムーブメント「ウニコ」は、2014年に発表された自動巻きムーブメントです。
『ウニコの特徴』
・ 約350個のパーツを使用した美しくデザイン性の高いムーブメント
・約72時間のパワーリザーブ(駆動時間)
ウニコのクロノグラフモデルは、文字盤側がスケルトンになっており、表からムーブメントが見えるようデザインされています。
これにより、裏蓋ではなく文字盤側からムーブメントの動きを確認できるのです。
ウブロの技術力と革新性を象徴するムーブメントとして、世界中の時計愛好家から高い評価を受けています。
④セイコー:スプリングドライブ
セイコーの「スプリングドライブ」は、機械式ムーブメントとクォーツ式ムーブメントのハイブリッド機構です。
『スプリングドライブの特徴』
・ゼンマイ駆動ながらクォーツ式の正確さを備えている
・機械式と比べて頑丈
・針の動きが流れるように滑らか
ゼンマイに加えて、発電機・IC・水晶振動子を搭載した「トライシンクロレギュレーター」で調速しています。
これにより、最大の魅力である「ゼンマイ駆動でクォーツ式の正確さ」を実現しているのです。
まさに、セイコーの技術力を象徴するムーブメントです。
⑤セイコー:9Fクォーツ
セイコーの「9Fクォーツ」は、1993年に開発されたクォーツ式ムーブメントです。
『9Fクォーツの特徴』
・年差±10秒という高精度
・絶縁部品を除くすべての部品が金属で出来ており長期メンテナンスが可能
・「ツインパルス制御モーター」による馬力の強さで太く・厚い針が回せる
最大の特徴は、「年差±10秒」という高精度です。
それを実現するため、選別した優れた水晶を90日間にわたってエイジングします。
さらに、1日540回の検温で誤差を補正します。
組み立ても、機械式の様に職人の手作業で組み立てられるのです。
クォーツムーブメントの最高峰と言っても、過言ではありません。
腕時計のムーブメントにおけるオーバーホールの必要性とは?
腕時計のオーバーホールは、いかなるムーブメントにおいても必須です。
腕時計は使用するにつれて、ムーブメントが経年劣化してきます。
そのため、定期メンテナンスとして「オーバーホール」が必須となるのです。
ここでは、ムーブメントにおけるオーバーホールの必要性を、機能別に解説していきます。
機械式ムーブメントのオーバーホール
機械式ムーブメントは、オーバーホールが非常に重要となります。
内部にある様々なパーツをスムーズにかみ合わせるため、潤滑油が使用されています。
そして、潤滑油は年数が経過するにつれて劣化してくるのです。
放置すると精度や機能に不具合が発生し、最終的にパーツが破損して時計自体の故障につながるのです。
そのため、以下のような作業でムーブメントをリフレッシュする必要があります。
①時計の分解
②内部パーツの洗浄
③ケース・バンドの洗浄
④パーツに注油
⑤時計の組み立て
⑥機械の精度調整
⑦防水テスト
クォーツ式のような「電池交換」がない分、オーバーホールが機械式の生命線となるのです。
クォーツ式ムーブメントのオーバーホール
クォーツ式にも、オーバーホールが必要です。
仮に止まっても電池交換すれば動くので、あまりオーバーホールのイメージが無いかもしれません。
しかし、機械式まではいかなくても、一部のパーツに潤滑油が使用されています。
当然、経年劣化による悪影響が生じます。
放置し続けるとパーツが破損し、電池交換しても動かなくなるのです。
クォーツ式の高精度を保つためにも、オーバーホールが必要となります。
腕時計のオーバーホールを依頼する方法
オーバーホールの必要性と共に、依頼する方法も紹介します。
オーバーホールは非常に高度な知識とスキルが要求されるため、セルフメンテナンスは行えないので、必ずプロに依頼しなければいけません。
ここでは、腕時計のオーバーホールの依頼先と依頼する方法を合わせて解説していきます。
メーカーの正規サービス
腕時計メーカーの正規サービスは、安心感の高いサービスが提供されます。
自社商品ならではの修理ノウハウと純正パーツで、適切な作業が行なわれるのです。
依頼する方法としては、「直営店・取扱店への来店受付」か「宅配サービス」がメインとなっています。
来店受付なら、専門のスタッフに相談しながら受付ができます。
宅配サービスは、主にメーカーのサイトから申し込む形となります。
近所に直営店・取扱店がない場合でも修理依頼が出来るのです。
腕時計の修理専門店
全国にある腕時計の修理専門店も、オーバーホールにおける有効な選択肢と言えます。
熟練のスタッフによって、あらゆるブランドの腕時計に対応できます。
依頼方法も、メーカーの正規サービスと同様に「来店受付」か「宅配サービス」となっています。
修理専門店は数が多いので、近所に店が見つけやすく「来店受付」がしやすくなっています。
最近はネット店舗も増えているので、「宅配サービス」も依頼できます。
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まとめ
腕時計のムーブメントについて、基本の機構からメンテナンスまで解説してきました。
この記事の要点をまとめると、以下になります。
・腕時計の主要なムーブメントは以下になる。
「機械式ムーブメント(手巻き・自動巻き)」
「クォーツ式ムーブメント(ソーラー機能・電波機能)」
・腕時計のブランドには上記をベースとした独自ムーブメントが存在する
・いかなるムーブメントでもオーバーホールが必要
・オーバーホールの依頼先は「メーカーの正規サービス」か「腕時計の修理専門店」
・依頼方法はいずれも「来店受付」か「宅配サービス」
腕時計のムーブメントは、時計の精度や利便性を決定します。
そのため、定期メンテナンスであるオーバーホールが重要となるのです。
オーバーホールに関する当記事のおすすめは、「スキルの高い修理専門店に依頼する」です。
まず、修理専門店の方がオーバーホール料金が安くなります。
定期的に必要なオーバーホールにおいて、大きなメリットとなるのです。
正規サービスの方が安心感はありますが、以下のポイントを抑えた修理専門店なら技術的にも安心して任せられます。
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・ネットの口コミ
時計のムーブメントとオーバーホールはセットとして把握し、今後の使用に役立ててください。