時計のムーブメントは交換できる?最適なやり方や費用を解説

「使っていた腕時計が止まってしまった」「電池交換をしても動かない!」こういった場合、腕時計のムーブメントを交換する必要があるかもしれません。ムーブメントは、時計の心臓部と言われる動力源です。ムーブメントには、主に機械式ムーブメントとクォーツ式ムーブメントの2種類があります。腕時計が動かなくなった場合は時計修理専門店で、オーバーホールや修理をしてもらうのが一般的ですが、大量生産されている汎用クォーツムーブメントは、交換ができることもあります。

この記事では、時計のムーブメント交換の方法、自分の交換する場合のやり方や注意点、そして時計修理店に依頼する場合も含めた料金相場について解説します。

時計のムーブメントとは

まずは、時計のムーブメントがどういうものなのかを解説します。時計のムーブメントは、時計の動力源であり車でいうところのエンジンです。

ムーブメントには、大きく分けてゼンマイで動く機械式ムーブメントと電池で動くクォーツ式ムーブメントがあります。

機械式ムーブメント

機械式ムーブメントの動力源は、ゼンマイの力です。おもちゃのチョロQのようにゼンマイを巻き上げ、それが解ける力で動きます。ただし時計の場合、すぐにゼンマイが解けるのではなくたくさんの部品によってゼンマイがゆっくり解けるように作られています。

機械式ムーブメントは、さらに手巻きと自動巻きに分けられます。手巻きはリューズを使ってゼンマイを巻き上げる必要がありますが、自動巻きはムーブメントについたローターが腕を動かすことで回り、ゼンマイを巻き上げます。機械式ムーブメントは、定期的なメンテナンスを行えば長期間使い続けることができます。また、部品が壊れて動かない場合は、その部品を交換すればまた使うことができます。ただし、オーバーホールには費用がかかるため維持費がかかります。

クォーツ式ムーブメント

クォーツ式ムーブメントは、電池を動力源としています。水晶振動子に電圧を加えて起きた振動を回路で電気信号に変換することで動かしています。振動数が圧倒的に多いため機械式ムーブメントよりも高い精度を持っています。加えて、クォーツムーブメントは、安価で大量生産が可能です。そのため、現在市場に出回っている時計の約90%はクォーツ式ムーブメントです。

またメンテナンスも、機械式ムーブメントほど頻繁に行う必要はないため維持費が安いのもメリットの一つ。時計を外してしばらく置いておくと時計が止まってしまう機械式ムーブメントに比べて、クォーツ式ムーブメントは頻繁に止まることはありません。

デメリットとしては、機械式ムーブメントよりも寿命が短いことが挙げられます。電池交換をすればずっと使い続けられると思っている方も多いですが、実際は電子回路の寿命があり使えなくなってしまいます。一部のブランドではクォーツムーブメントでも、電子回路ごと交換するアフターケアを行っているところもありますが、大部分は修理が難しいと言われています。

時計のムーブメント交換を行う方法

時計のオーバーホールの風景
時計のオーバーホールの風景

時計のムーブメント交換を行うには、下記の3つの方法があります。

  • 時計メーカーに依頼する
  • 時計修理店に依頼する
  • 自分で交換する

それぞれ解説します。

時計メーカーに依頼する

1つ目は、時計メーカーに依頼する方法です。腕時計のメーカーは自社の時計であれば修理に対応してくれます。多くのメーカーは正規店で購入すると約3~5年ほどの無料保証があるため、通常使用によるムーブメントの不具合の場合は、無料で対応してもらえます。しかし保証の対象外であることが多く、その場合は修理費が発生するため注意が必要です。

メーカーでの修理は安心感がある一方、費用は他の方法よりも高額になります。また、多くの人が修理依頼をしているため、修理を依頼してから時計が返却されるまで時間がかかります。壊れた部品が海外にしかない場合、取り寄せる必要がありますが、数ヶ月かかけることも珍しくありません。場合によっては半年かかることもあります。

時計修理店に依頼する

2つ目は、時計修理店に依頼する方法です。時計修理店を専門にしている店舗であり、個人店のような小規模なところから全国に複数拠点構える大規模なところまで、さまざまです。

時計修理店のメリットは、プロの時計技師による修理が安価な価格で受けられる点にあります。店舗によってはメーカーとほとんど変わらない高品質さを持っているところもあります。多数の時計技師を抱えているため、すぐに修理対応してもらえるところも魅力です。

また、時計技師に点検してもらうことで、ムーブメント交換が必要だと思っていた時計が、部品交換だけで動くことも多々あります。とくに機械式ムーブメントは、オーバーホールを行うことで状態が良くなることもあり、このような場合ははじめに想定してたよりも修理費が安く済みます。

デメリットとしてはさまざまな時計修理店があるため、店舗によって品質にバラつきがあるところです。メーカーと同等の高品質なところもあれば、品質が低く反対に時計の状態が悪化してしまうこともあります。そのため、時計修理店に依頼する場合は優良な時計修理店を見極める必要があります。

自分で交換する

3つ目は、自分で交換する方法です。この方法は、時計に関して知識があり実際に他の部品を修理したことがある方に限られます。

時計に詳しくない、時計の内部を触ったことがないという方にはおすすめできません。時計は精密機械ですので、少し扱いを間違えたり傷つけたりしてしまうと動かなくなってしまいます。とくにムーブメントの交換は、リューズの巻き真を抜いたりムーブメントがむき出しになるため、非常にデリケートな作業になります。

時計の修理をやったことがあるという方や、時計に精通しているという方でも、なるべくメーカーや時計修理店などのプロにお願いしたほうが良いでしょう。

時計のムーブメント交換を自分で行う方法

時計の修理風景
時計の修理風景

ここではクォーツムーブメントの交換を自分で行う方法をご紹介します。繰り返しになりますが、ムーブメント交換は一歩間違えると、時計の状態が更に悪化してしまいメーカーでも修理できなくなってしまいます。時計の修理を行ったことがない方は、安易に行わないようにしましょう。

時計のムーブメント交換に必要な工具

時計のムーブメント交換には、以下の工具が必要です。

  • 裏蓋外し:裏蓋を外すために必要な工具。裏蓋は「スクリューバック方式」「はめ込み式」「ネジ式」の3種類があります。
  • 剣抜き:針を抜くために必要な工具
  • ピンセット:リューズや針、ムーブメントの部品を扱うのに必要な工具
  • 文字盤を保護するシート:針を外す際にあると良い
  • 剣入れ:外した針を入れる際に必要な工具
  • 裏蓋締め機:裏蓋を締めるのに必要
  • ムーブメントを支える台座:文字盤とムーブメントをつけるのに必要
  • ブロワー:細かい埃や塵が時計内部にはいらないようにする
  • 先が尖った工具:オシドリを押すのに必要

時計のムーブメント交換のやり方・手順

時計のムーブメント交換を自分で行う際の手順は次のとおりです。

  1. 裏蓋を開ける:裏蓋の構造に合わせた工具を使い裏蓋を外す
  2. 巻き芯を抜く:汎用ムーブメントでは矢印部分を画鋲などの尖ったもので押すと抜ける
  3. ムーブメントを外す:ケースからムーブメントを取り出し、台座に置く
  4. 針を抜く:剣抜きを使って文字盤から針を抜く(この際文字盤にキズがつかないようにシートを使用する)
  5. ムーブメントから文字盤を外す
  6. 新しいムーブメントに針座をつける(初めからついているものもあります)
  7. 文字盤をつける:ムーブメントと文字盤をつけ、軽く押す
  8. 針をつける:ピンセットと剣入れをつかって針をつける
  9. つけた針が擦れないか針回しをして確認する
  10. 仮の巻き真をとる
  11. ケーシングをする

時計のムーブメント交換を自分で行う際の注意点

時計のムーブメント交換は、各腕時計のサイズや文字盤・足の位置が完全に一致するものを入れ替える必要があり、合わないものを入れてしまうと状態が悪化し、修理不可の状態になってしまうこともあります。また、リューズの巻真も同様に、合うものでないといけません。時計のムーブメント交換は、少しでも手順を間違えると時計が動かなかったり針が曲がってしまう、リューズが折れてしまいます。できるだけ自分で行わずにプロに依頼するようにしましょう。

時計の修理経験がある、壊れても良い時計で実験してみたいという方も、ムーブメントに直接指で触れないようにしたり、力を入れすぎないように注意をしましょう。

後悔しない時計修理店の選び方

腕時計修理店

時計のムーブメント交換でおすすめなのは、時計修理店に依頼する方法です。優良な店舗を見分けられれば、高品質な修理をメーカーよりも安く受けることができます。ここでは、優良な時計修理店を見極める方法をご紹介します。

時計修理の実績は多いか

1つ目のチェックポイントは、時計修理の過去の実績です。修理実績が豊富であるということは、それだけ時計修理の設備が揃っている、腕利きの時計技師がいるということになります。修理実績が豊富であれば対応できるメーカー・ブランドも多く、ムーブメントが交換になるような場合でも、修理対応できます。

修理後の保証

2つ目のチェックポイントは、修理後の保証がどのくらいかという点です。優良な時計修理店では、修理後に不具合が発生した場合でも、通常使用の範囲内であれば無料で対応してくれます。反対にこういった保証がない場合、不具合が発生してもすべて実費で対応する必要があるので気をつけましょう。優良な時計修理店では技術に自信があるため無料で保証してくれます。一般的にはアンティーク時計は3~6ヶ月、その他の時計は6ヶ月~1年となっています。

廃番パーツに対応できるか

時計のパーツは、モデルの生産が終了して一定期間経つと供給が終了します。機械式ムーブメントの場合は部品を交換することで使い続けることができますが、クォーツ式ムーブメントの場合、電子回路にダメージがあるとまるごと交換する必要があります。

しかし生産終了から時間が経っていると交換できる回路がないことも多々あります。優良な時計修理店ではパーツの供給先を複数持っているため、廃番パーツでも入手できる可能性があります。

また、機械式ムーブメントの場合、部品を一から作ることも対応しているところもあります。小さな部品の製造に対応できるのは、高度な技術を持っているといえます。

K’s factory(ケイズファクトリー)の宅配修理

K’s factory(ケイズファクトリー)では、時計専門店様から数多くの難しい依頼を受けてきた経験豊富な技術者が皆様のご愛用の腕時計を的確に診断・修理いたしております。また、ほぼ全ての修理工程を自社工房内で完結しており、厳重なセキュリティシステムで責任をもって皆様の大切な腕時計をお預かりしております。

内部(ムーブメント)のオーバーホールはもちろんのこと、外装部の点検・修理なども含めたトータル修理も賜っております。一部修理後のご相談やベルトの交換などのご依頼も対応しておりますので、ぜひK’s factory(ケイズファクトリー)の宅配修理をご活用ください!

時計のムーブメント交換の料金相場

料金、費用

ここではメーカー、時計修理店に依頼する場合、そして自分で行う場合の概算費用をご紹介します。ただし、ブランドやモデル、ムーブメントの種類によってまったく異なるため、交換する時計によって大きく金額は変わってきます。

メーカーに依頼する場合

メーカーに依頼する場合、技術料+ムーブメント費用がかかります。これらの費用はメーカーやモデル、ムーブメントの種類によって異なりますが、3つの選択肢のなかではもっと高額になります。概算ではクォーツムーブメントでは10,000~50,000円、機械式ムーブメントでは20,000~100,000円前後です。

時計修理店に依頼する場合

時計修理店に依頼する場合、店舗によって費用の合計はもちろん計算方法も異なります。ムーブメント交換にかかる技術料+ムーブメント代金で計算するところもあればすべて合算で請求するところやオーバーホール代金に技術料を含むところもあります。ムーブメント交換にかかる費用は、クォーツムーブメントで8,000~40,000円、機械式ムーブメントで30,000~100,000円です。

自分で行う場合

自分で行う場合、各種必要な工具+ムーブメント代金がかかります。汎用ムーブメントであれば、インターネットで自分で購入できます。ムーブメントの費用は、クォーツムーブメントで500円~10,000円前後、機械式ムーブメントで2,000~45,000円前後となります。

まとめ

時計のムーブメント交換について解説しました。ムーブメント交換の手段としては「メーカーに依頼する」「時計修理店に依頼する」「自分で交換する」の3つがあります。自分で交換する場合は、時計中級者以上でなければ困難で、時計にあったムーブメントを見つけるのも難しいです。一歩間違えると、更に状態が悪くなり修理ができなくなってしまうこともあるため、十分気をつけましょう。

安全に安く修理したい方には、時計修理店への依頼がおすすめです。時計修理店は全国にさまざまな店舗があります。しかし技術に差があるため、価格だけでなく実績や修理後の保証、パーツ制作をしているかといったポイントもあわせて確認するようにしましょう。

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