「コーアクシャルって他のオメガのモデルとどう違うの?」
「オーバーホールの依頼先と、選ぶ際のポイントとしてそれぞれのメリット・デメリットが知りたい」
「コーアクシャルをオーバーホール依頼したときの料金が知りたい」
腕時計ブランドの「オメガ」は、1848年に時計師の「ルイ・ブラン」がスイス時計産業の中心地「ラ・ショード・フォン」に開設した時計工房がルーツとなっています。
オメガの腕時計の特徴は、その多様性と革新性にあります。
『オメガの代表的なモデル』
・スピードマスター=NASAの宇宙飛行士用標準装備として採用された、通称「ムーンウォッチ」
・シーマスター=優れた防水性と堅牢性を誇るダイバーズウオッチ
・コンステレーション=高い精度とエレガントなデザイン
・デ・ヴィル=コーアクシャル脱進機を最初に搭載したシンプル&エレガントなデザイン
また、オメガは独立時計師のジョージ・ダニエルズが開発した「コーアクシャル脱進機」を採用しています。
革新的な脱進機を搭載したこと独自機構により、オメガの名声はさらに高まる結果となりました。
しかし、いくらコーアクシャルを搭載した腕時計でも、経年劣化は避けられません。
内部のパーツや油が劣化することで、精度に悪影響が出てしまうのです。
そのため、定期的なメンテナンスとして「オーバーホール」が必須となります。
この記事では、オメガのコーアクシャルについての解説、さらにオーバーホールの依頼先やそれぞれの料金などを解説していきます。
最後まで読んでいただくと、以下のようなメリットがあります。
「オメガのコーアクシャルについてわかる」
「コーアクシャルのオーバーホールの依頼先とそれぞれのメリット・デメリットがわかる」
「コーアクシャルをオーバーホール依頼したときの料金がわかる」
高精度なコーアクシャルの腕時計を、この記事を参考にぜひオーバーホール依頼してみてください。
オメガのコーアクシャルについて
オメガには、革新的な「コーアクシャル脱進機」を搭載したモデルがあります。
しかし、具体的にどのような仕組みや作りをしているかはあまり知られていません。
ここでは、オメガのコーアクシャルについて詳しく解説していきます。
オメガの「コーアクシャル」とは?
オメガの「コーアクシャル」は、1974年にイギリスの時計師ジョージ・ダニエルズによって開発された脱進機です。
脱進機とは、ムーブメントの動力源で発生したパワーを調整するパーツです。
時計の精度を左右する、重要なパーツになります。
1999年にコーアクシャルの実用化に成功し「Cal. 2500」を「デ・ヴィル」に搭載します。
2007年には次世代コーアクシャルとして、衝撃耐性と精度安定性に長けた完全自社開発ムーブメント「Cal. 8500/ 8501」を開発します。
これらの功績により、オメガは脱進機革命のパイオニアとして高い名声を得たのです。
コーアクシャルの作り
まず一般的な機械式ムーブメントは、以下のような流れで針を動かしています。
①ゼンマイを巻き上げて回転エネルギーが発生する
②「秒針・分針・時針」それぞれを動かす各歯車が回転する
③歯車の並び先「調速・脱進機構部」でスピードを調整
④再び「秒針・分針・時針」それぞれを動かす各歯車に回転スピードを変えながら伝えていく
上記の③にある「調速・脱進機構部」を進化させたのが、コーアクシャルです。
時計の精度を一定に保つ重要な部品として、「アンクル」と「ガンギ車」というパーツが調速・脱進機構部に使用されています。
アンクルは2つのツメでガンギ車と噛み合い、ゼンマイのスピードを伝えています。
コーアクシャル脱進機は、アンクルのツメを4つにし、さらにガンギ車も2層構造になっているのです。
それにより力を分散させ、アンクルとガンギ車の接触面積を減らすことができます。
結果的に、パーツ同士の摩擦や破損のリスクが大幅に軽減できるのです。
コーアクシャルの特徴
コーアクシャルはパーツ同士の摩擦を減らすことで、従来の機械式よりもオーバーホール頻度を大幅に延ばせます。
通常のオメガの時計なら、オーバーホールの頻度は3〜5年となっています。
コーアクシャルに関しては、オーバーホールの頻度が8〜10年に1度で大丈夫だと言われています。
オーバーホール頻度が長期化するということはそれだけ内部の劣化を防ぐことができているということになります。
オメガのオーバーホールの依頼先についてについて【メリット・デメリット】
オメガのオーバーホールの主な依頼先は「オメガの正規サービス」と「腕時計の修理専門店」になります。
ここでは、依頼先について解説し、なおかつそれぞれのメリット・デメリットを挙げていきます。
オメガの正規サービス
オメガの正規サービスは、「スウォッチグループジャパン」にて実施されます。
「スウォッチグループ」とは、世界最大の時計メーカーグループのことです。
日本国内にもサービスセンターを設けており、オメガを含めたスウォッチグループの時計ブランドの修理に対応しています。
オメガの正規サービスとして、例えば「コンプリートメンテナンスサービス」といったサービスを提供しています。
正規サービスのメリット:高い安心感
正規サービスのメリットは、高い安心感にあります。
自社商品の修理ノウハウを会得したスタッフが、多数在籍しています。
パーツ交換が入ったとしても、もちろん純正品で対応できます。
特にコーアクシャルはオメガの独自機構なので、純正品での対応が基本です。
適切な修理に加え、純正品によって時計の資産性も確保できるのです。
正規サービスのデメリット:修理料金が高額
正規サービスは、修理料金が高額になる傾向にあります。
正規サービスの修理工房は、全国から毎日送られる修理品に対応するため、規模が大きくなります。
それに合わせて、人員・設備などの維持費がどうしてもかかってしまうのです。
莫大な維持費が修理料金にも反映される形となり、高額になってしまうのです。
腕時計の修理専門店
腕時計の修理専門店は、熟練の修理師が在籍しており、あらゆるブランドに精通しています。
個人店から企業、最近ではネット店舗も増えておりその規模も様々です。
修理専門店のメリット:修理価格が安くなる
腕時計の修理専門店は、正規サービスと比べてオーバーホール料金が安くなる傾向にあります。
その理由は、正規サービスと比べて修理工房の規模が抑えられている事にあります。
家賃や人件費、その他諸々のコストを抑えることができ、その部分が修理料金に反映されています。
修理専門店のデメリット:技術力の見極めが必要
全国に多数の修理専門店が存在するので、どうしてもスキルに差が発生します。
大事な時計を預ける以上、スキルの高い修理専門店を自分で見極める必要があります。
『優良な修理専門店を選ぶポイント』
・修理専門の資格である「時計修理技能士1級」を保有しているスタッフが在籍している
・コーアクシャルモデルのオーバーホール実績がある
逆に上記の2点を抑えれば、安いコストで安心してオーバーホールが依頼できます。
オメガのコーアクシャルのオーバーホール料金
オーバーホールするにあたって、やはり気になるのは料金でしょう。
オーバーホールは、経年劣化をリフレッシュするための定期メンテナンスです。
所有している限り何度も必要なので、一度のオーバーホールでどれぐらいの料金がかかるのか知っておいた方が良いでしょう。
ここでは、オメガのコーアクシャルのオーバーホール料金を依頼先別にご紹介します。
正規サービスのオーバーホール料金
機能 | オーバーホール料金 |
---|---|
機械式 | 105,600円~ |
機械式クロノグラフ | 135,300円~ |
※最終的な修理内容によって料金は変動します
納期:6週間~
オーバーホール料金は、時計のあらゆる修理において最も高くなります。
①腕時計の分解
②パーツの洗浄
③ケース&ブレスの洗浄
④各パーツへの注油
⑤時計の組み立て
⑥タイミング調整など
⑦精度・防水テスト
上記のように、オーバーホールは作業量が非常に多くなります。
高度な知識や技術はもちろん、様々な専用機械を使用して行なわれるのです。
特にオメガはただのオーバーホールではなく、「コンプリートメンテナンスサービス」になります。
外装の研磨や、必要に応じてパーツの交換まで含まれる網羅的な内容となっているのです。
修理専門店の料金
機能 | オーバーホール料金 |
---|---|
機械式 | 約33,000円~ |
機械式クロノグラフ | 約55,000円~ |
納期:3週間~
コーアクシャルの「ガンギ車」と「アンクル」は、オーバーホール時の調整が非常に難しいので対応できる修理専門店が限られます。
対応できても、他のオメガより高額な修理料金だったり納期も長くなることが多くなります。
あらかじめ、修理専門店のサイトなどでコーアクシャルに対応しているか確認しておきましょう。
オメガのオーバーホールを依頼する
前述したように、オメガのオーバーホールの主な依頼先は「オメガの正規サービス」と「腕時計の修理専門店」です。
ここでは、それぞれ2つの依頼方法をご紹介します。
どちらも同じような内容ですが多少の違いがありますので、それも含めて解説していきます。
正規サービスの依頼方法
①来店受付
『依頼先:オメガの正規販売店 or カスタマーサービス』(スウォッチグループジャパンの地区指定サービスセンター) |
---|
東京カスタマーサービス |
(有)札幌時計サービスセンター |
中部時計サービスセンター |
九州地区指定サービスセンター(有)スイス時計サービスセンター |
オメガブティック心斎橋 |
1つ目の依頼方法は、腕時計をオメガの正規販売店やサービスセンターに持ち込む「来店受付」です。
専門のスタッフと時計の状況を相談しながら、修理の受付ができます。
修理作業においても、スイス本社からの技術指導によって高水準のサービスを提供しています。
総合的に、安心感の高い受付方法です。
②ピックアップサービス
2つ目の依頼方法は、指定の場所まで時計を引き取ってくれる「ピックアップサービス」です。
依頼の流れは、以下になります。
①専用Webサイトで申し込み
②指定の住所に2週間以内に梱包材が届く
③時計を梱包材に入れて送り返す
④修理作業
⑤指定の住所に修理された時計が送られる
梱包資材、時計の配送料などが無料となっています。
メンテナンス料金は、返送時に代引きで支払いとなっています。
最寄りにサービスセンターが無かったり、時間と手間を省きたいときに便利なサービスです。
修理専門店の依頼方法
①来店受付
修理専門店の1つ目の依頼方法は、「来店受付」です。
正規サービスとの違いは、とにかく修理専門店は全国に数多く存在します。
そのぶん自宅の近所や通勤ルートなどで、依頼できる店が見つけやすくなっているのです。
しかし、オメガのコーアクシャルを対応しているとなると少し限られます。
Webサイトを確認するか、直接問い合わせるなどして対応可能かどうか確認してみましょう。
②宅配サービス
一部の修理専門店は、正規サービスのピックアップサービスのような「宅配サービス」を実施しています。
Webサイトから申し込んで、梱包材が届くなどの流れはほとんど変わりません。
送料がかかる修理専門店もありますが、オーバーホール料金が安いのでコスパは良いと言えます。
また、Webサイトから簡易見積もりができる修理専門店もあります。
来店せずとも、事前に見積もりしてから依頼する事が可能なのです。
K’s factory(ケイズファクトリー)の宅配修理
K’s factory(ケイズファクトリー)では、時計専門店様から数多くの難しい依頼を受けてきた経験豊富な技術者が皆様のご愛用の腕時計を的確に診断・修理いたしております。また、ほぼ全ての修理工程を自社工房内で完結しており、厳重なセキュリティシステムで責任をもって皆様の大切な腕時計をお預かりしております。
内部(ムーブメント)のオーバーホールはもちろんのこと、外装部の点検・修理なども含めたトータル修理も賜っております。一部修理後のご相談やベルトの交換などのご依頼も対応しておりますので、ぜひK’s factory(ケイズファクトリー)の宅配修理をご活用ください!
まとめ
オメガのコーアクシャルのオーバーホールについて、解説してきました。
この記事の要点をまとめると、以下になります。
・オメガのコーアクシャルは「調速・脱進機構」を進化させた特殊な機構
・パーツ同士の摩擦を軽減することでオーバーホール頻度を一般的な「3~5年」から「8~10年」と大幅に延ばすことに成功した
・「オメガの正規サービス」か「腕時計の修理専門店」に依頼できる
・正規サービスのメリットは「高い安心感」
・正規サービスのデメリットは「修理料金が高額」
・修理専門店のメリットは「修理料金が安くなる」
・修理専門店のデメリットは「技術力の見極めが必要」
・正規サービスの依頼方法は「来店受付」と「ピックアップサービス」
・修理専門店の依頼方法は「来店受付」と「宅配サービス」
当記事の結論としては、「スキルの高い修理専門店に依頼する」というのが一番のオススメとなります。
コーアクシャルのみならず、オメガはオーバーホール料金が高額です。
料金が安い修理専門店に依頼することで、少しでもコストが抑えられます。
さらに簡易見積もりからの宅配サービスを利用すれば、手軽にオーバーホール依頼が可能です。
パーツ交換に関して言うと、コーアクシャル脱進機の純正品の入手は修理専門店では困難となっています。
なので、「8~10年」のオーバーホール頻度を遵守するようにしましょう。
あまりに放置すると、いくらコーアクシャルでもパーツ破損のリスクが上がります。
オーバーホール作業のみなら、スキルの高い修理専門店にて対応ができます。
高精度なオメガのコーアクシャルを、オーバーホールで適度にリフレッシュしつつ、長期にわたって愛用しましょう。